宮崎市の現状

私たちが住み暮らす宮崎市

九州地方の東側に位置し、東は太平洋、西側は熊本県と九州山地に、南側は鹿児島県、北は大分県に面している宮崎県の県庁所在地である宮崎市。

人口は約40万人(平成24年度)です。
私たち「宮崎 ほほえみの会」が中心に活動している宮崎市から見た現状の話です。

私たちから見た、宮崎市の現状

私たちが住んでいる宮崎県の最低賃金は、平成24年度「厚生労働省・賃金構造基本統計調査」で、47都道府県中44位の1時間当たり653円であり、全国平均である746円と比べると、約90円の差があります。

当然ですが、賃金が低いということは平均年収も低く、47都道府県中42位の363.2万円で、47都道府県中1位の東京都が599.7万円であり、東京都と同じ労働時間であれば収入は少なく、東京都並みの収入を得ようとすれば、当然ですが労働時間が増えることになります。

平成24年度「総務省・消費者物価地域差指数」で、宮崎市は都道府県庁所在地+政令指定都市(51市)の平均より低い97.3%でしたが、収入の低さを埋める程ではありません。

残念な事ですが、これが現実でありワーキングプアと呼ばれる、得られる収入が低くて働いても貯蓄等の余裕が無く、自転車操業的な生活をおくる方々が多いのです。

でも、雇用をする側である企業からすれば「労働力に対する対価」は安いほど人件費を抑えられ利益に繋がるので、賃金の安い地域で…。と、某元タレント知事のネームバリューで波に乗っていた時代に宮崎県や宮崎市は企業誘致を進めるも、東南アジア等の人権費の安さには勝てるはずもありません。

また、地理的な不利も企業側からすれば、進出の意向を削いでしまうでしょう。物流の主流である高速道路は、九州山地の西側を通っており宮崎県中心部から一旦南西に向かい北上するので、距離があります。

また、宮崎県を縦断している一級国道である10号線も都市部では片側2〜3車線ですが、郊外や山間部では片側1車線でありとても高速道路を補完できる状況ではありません。

もう一つの物流である鉄道は、JR日豊本線が国道10号線と平行して宮崎県を縦断してはいますが、電化はされてはいるものの「本線」とは名ばかりで、宮崎県内全線単線であり許容最高速度も低く85Km/h〜110Km/hで物資輸送を担えるものではなく、その証拠に宮崎県内では貨物列車の運行はしていません。

このような状況では、企業側が二の足を踏むのは当たり前であり、宮崎県や宮崎市が行っている企業誘致の効果は現れていない状況です。

企業の雇用形態の変化

平成に入りバブル景気が弾けた後、男女雇用均等法の施行や終身雇用の崩壊とともに昭和時代のような雇用の形態が変化し、人材派遣やアルバイトにパート等の雇用形態が多くなってきました。

また、この長引く不況で労働者を雇用する企業側も「新卒者や未経験者を雇い、試用期間や研修で仕事を一から教える」という事は、経費や人材の浪費に繋がる為に、即戦力となる経験者を求人し雇用する事が当たり前になってきました。

それと同時に、社会情勢の変化に伴ってISOの取得や環境への配慮、品質の向上の為、国家レベルでの資格や免許は勿論、業界や協会、団体や企業レベルでの資格を取得している人材を雇用するという傾向にあります。

それは、専門的なスキルや経験を持った人が安定した職業に付きやすく、学歴もスキルも経験も無い人が人材派遣やアルバイトにパート等の収入や長期雇用が不安定な職にしか就けないという二極化を生みました。

この事は宮崎市も例外なく該当し、ただでさえ働き口となる企業が少ない状況で、就職の困難さに繋がっています。

宮崎市の失業率とホームレス

この事は、企業や産業が少なく雇用数(働き口)の絶対的な低水準を意味し、宮崎市の失業率にも現れていて「平成24年度・財務省統計局労働力調査(基本集計)」において、宮崎市の失業率は6.275%と全国平均の4.3%に比べて約2%も悪い数字になっています。

この失業率ですが、病気や怪我の治療や療養の為や、妊娠出産等の一時的な離職など、働きたくても働けない人の数は除外されていて、仕事をする意思のある人(ハローワークで求人票を取得し求職活動中など)が統計対象であり、働けるのに働く意思が無い人、所謂、ニートや家事手伝い等も含まれていないので、実際はもっと多いはずでしょう。

この不況が続く中、平成23年度に厚生労働省によって行われた「ホームレスの実態に関する全国調査結果」では、全国で9576人、宮崎市では6人という結果が発表されました。

悦ばしい事に、年々ホームレスの総数は減少しています。しかし、特に東京を中心とした都市部では減少傾向がみられたものの、地方都市では推移又は増加傾向にあると報告されています。

但し、この調査対象は、公園や河川敷等でダンボールやビニールシートで簡易的な居住空間を作りそこに定住している、所謂、定住型ホームレスと呼ばれる方々であり、定住地を決めずに自転車や徒歩で移動を繰り返している移動型ホームレスと呼ばれる方々は、調査のタイミングによってはカウントされない可能性が否定できず、ホームレスの実際の人数はもっと多いと思われています。

ホームレス予備軍

また、ホームレス予備軍と呼ばれる人たちの事も、忘れてはならないでしょう。最近、マスコミ等で話題になっている「ネットカフェ難民」「マック難民」、ファミレスや入浴施設などの24時間営業の店舗を宿泊施設代わりに利用している人や、自動車の中で生活している人たちの事です。

前にお話したワーキングプアと呼ばれる方々が、働いても生活で余裕が無く貯蓄も出来ないような状況の中で、会社の倒産やリストラ、派遣従業員の派遣切り、心身の不調や事故等の体調不良が原因の退職等の急な理由で失業してしまうと、この不況の中で安定した仕事がなかなか見つからない状況に落ち入ってしまうのです。

短期間のアルバイトや短時間のパートで一時的な収入を得るものの、安定した生活には程遠い状況であり、家賃や電気ガス等の生活費が稼げなくり、ネットカフェ等の24時間営業の店舗が自宅代わりになったり、自動車が寝泊りする場所になるのです。

また、現代社会において生活必需品である携帯電話が、通話料の滞納などで強制解約されてしまったり、生活費捻出の為の解約や、携帯電話本体を売却するなどをしてしまうと、就職活動や新しい入居場所探しはほぼ不可能な状況になってしまいます。

24時間営業の店舗もお金無しでは利用できませんし、自動車もガソリン代が必要であり車検が切れてしまえば乗る事が出来なくなってしまいます。ホームレス予備軍=見えない、隠れたホームレスと呼ばれる方々は、そうして最後に見えるホームレスになってしまうのです。

正式な統計方法が無いもののマスコミや識者の発言では、日本国内に100万人以上いるであろうと言われています。

ホームレスと予備軍の低年齢化

最近の傾向として、ホームレス予備軍やホームレスの平均年齢の低下があげられます。特に二十代や三十代が増加していると言われています。

「三十代、ましてや二十代であれば就職先も見つけやすいはずなのに…」と不思議に思われるでしょう。しかし、私たち宮崎 ほほえみの会へ相談に来られた方々には二十代や三十代は勿論、女性もいます。

この世代に多いのが精神的な理由によって働く事への抵抗を持っている方が多い事もあります。

高校や大学、専門学校卒業後に就職し、生まれて初めての仕事で、会社や上司からのパワーハラスメント、先輩や同僚、取引先やお客からのいじめや嫌がらせ、社会通念を脱したブラック企業の体質など、今まで経験したことも無いような理不尽な大人の事情によって、鬱になってしまったり対人恐怖症のPTSDで仕事に対する恐怖心に翻弄されてしまい、就職できない方もいます。

皆様が想像されるであろうホームレスは、駅や公園などにダンボールやブルーシート等で居住空間を作り、そこに定住している…。というイメージをお持ちでしょう。

しかし、実際は予備軍の項でお話したような(特に、野宿がとても危険な女性は)24時間営業の店舗や自家用車等を宿泊施設代わりに利用していたり、若い世代であれば、友人との繋がりに強く依存する傾向にある為に知人や友人宅に居候を転々していたりする事も多いのです。

また、服装や髪型など身形に大変気を使っていますので、このページをご覧になっている貴方が街ですれ違っても、バスや電車で横に座っても気が付かないでしょう。

私たちから見たら、ご本人が否定したとしても住居困窮者であれば、仕事をしていてもホームレス予備軍ではなくホームレスだと思うのです。

孤立無援社会

ではなぜ、ホームレスになってしまうのでしょうか。

全てとは言い切れませんが、複雑な家庭環境が影響していて親兄弟等の家族に援助を求められない事が多いのも事実です。

●両親との死別
●離婚等で連絡の手段が無い
●暴力や借金、色々な事情で家族との修復が絶望的な関係
●家出以来、家族とは音信不通
●法を犯し服役出所後、家族と連絡が途絶えた
など、相談し頼れるはずの家族がいない人たちが多いのです。

本人の意思に関係ない理由で、社会から孤立してホームレスになってしまうこともあります。

●養護施設出身
●特別学校出身
●重度の障害
●精神的疾患
●性的少数者(LGBT)
●様々な理由による迫害や差別
切欠は小さな出来事でも、突然の出来事でも、様々な理由で自分自身に降りかかって来た負の連鎖を止める事が出来なくなり、ホームレスになってしまった人が多いのも事実です。

ホームレスになってしまったと言うことは、助けを求める人がいない=社会から孤立無縁になる事を意味してしまうのです。

そして、就職活動や入居場所を探したり入居する時に大変なハンデを負う、所謂住所不定となってしまい、人間らしい生活を取り戻すのは大変難しくなります。

私たちは、活動を通じて感じたのは、進んで自らホームレスになった人はいないと言い切れるでしょう。


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